黒鐡…24

 未知の感覚に思わず身体を捩り、御島の胸を押し戻そうと力を込めるが、ビクともしない。
「ふ…っ…ぅん…ッ」
 彼の指先が乳頭を押し潰し、慣れたように転がして来る度に、
 我慢出来無いような疼痛が身体の奥から沸き起こり、鼻に掛かったような声が漏れる。
 息が上手くつけず、それでも何とか逃げようともがくと、ようやく御島は舌を抜き去り、唾液に濡れた唇を解放してくれた。
「鈴、大丈夫だ。痛い事はしないから、安心しろ」
 いつまで経っても怯え、逃げようとする僕に御島は優しい声で云う。
 けれど声を掛けながら僕のシャツの釦を全て外して前を開くと、露わになった胸元に、彼は顔を近付けた。
「やッ…、」
 唐突に乳頭を口に含まれ、逃げる間も無く吸われ、先端をやんわりと咬まれる。
 身体中を電流が突き抜けるような、痛みとも呼べる痺れに、身体が強張った。
 ざらつく舌の感触が、獣のようにじっくりと其処を舐め上げ、舌先で突付かれる。

「く…ぅ、ん…っ」
 目の眩むような感覚に襲われ、抵抗も忘れて、無意識に御島へとしがみついてしまう。
「どうだ鈴、気持ち好いか」
 まるで犬みたいにそこを執拗に舐められ、チュッと音を立てて吸われる。
 けれど御島の問いに、僕は首を縦にも横にも振ろうとはしなかった。
 御島の云う通り、本当に気持ち好いけれど……男のくせに、こんな所で感じるような自分が信じられないし、認めたくも無い。
「よ、好くなんか…っ」
 震えた声で否定すると御島は喉奥で笑い、舌先を震わせるようにして乳頭を嬲る。
 体温は更に上がって、震える身体は仰け反り、息が熱く弾んだ。
 逃げなければいけないと思うのに、自分のものでは無いみたいに、身体に力が入らない。
 御島はそんな僕を見ながら僕の股間部へと指を滑らせ、ジッパーを下ろし始めた。
「な、何を…い、いやだっ」
 流石にそれにはぎょっとしてしまい、必死で暴れる。
 だけど僕がどれだけ抵抗しても御島には全然大した事は無いらしく、あっさりと腰を押さえ付けられ、下着ごとズボンを脱がされてしまった。
「好い思いをさせてやるから、大人しくしとけ」
「いやだっ、いらないっ」
 もがいて逃げようとすると、更に強く腰を押さえられる。
 何をされるのか分からず、恐怖で身体を強張らせる僕を一瞥して御島は軽く笑い、
 一度僕を抱き起こしてから身を屈め信じられないことに僕の股間部へと顔を寄せて来た。
「なに、何を…、」
「いい色だな。自分で刺激した事は、あんまり無いのか」
 掛けられた質問の意味は、何となく分かる。
 一人でした事は何回か有るけれど、その度に嫌悪感が強まって、
 高校に入ってからはもうずっと、そこを自分で刺激する事はしなくなった。
 御島は食い入るようにそこを見つめて、そして躊躇った様子も無く、そこを咥え込んで来た。

「ひっ、い…嫌、…やめっ、」
 どうしてこんな事が出来るのかと、そこは汚いじゃないかと、そう云おうとしたのに強い刺激に首を振ることしか出来なかった。
 窪みを舌先で突付かれ、耐えるように目を瞑るが、御島はやめてくれる気配なんて全く見せない。
「嫌…やっ、止め…て、…っぁ、く…ッ」
 人にそんな所を咥え込まれるなんて、思いも寄らなかった僕は、逃げ腰になってしまう。
 けれど御島は力強い手でしっかりと腰を押さえて、僕自身をきつく吸い上げて来た。
 相手の髪を引っ張り、どうにかその信じられない行為を止めさせようと試みるけれど、力の入らない体ではそれは全く意味の無い行動だった。
 嫌だ嫌だと首を振っても御島は止めてなんかくれず、先端から溢れる蜜を舐め、裏筋まで舐め上げて来る。
 次々と的確に刺激を与えられて執拗に愛撫され、そしていきなり奥まで呑み込まれ……
 きつく引き抜かれた瞬間、目の前が真っ白になった。

 僕は御島の口内へと欲を放ってしまい、身体を小刻みに震わせる。
 御島は喉を鳴らしたから、僕の出したものを飲んだのだと、強い悦楽感に浸りながらも何とか理解出来た。
「……濃いな。溜めていたのか、」
 どうしてあんなものを飲めるんだと考えながら、息を切らして脱力していると、御島が口を離して
 笑いながら言ってそれから再び、僕自身をきつく吸い上げて来た。
「ゃ、ぁっああ―…っ」
 残滴すら残さずに吸い上げられると、掠れた甘ったるいような声が上がって、身体が震える。
 御島がゆっくりと僕自身を解放すると、まるで糸が切れたように、僕は意識を失ってしまった。



 目を覚ますと僕は布団の上で寝ていて御島は傍に居たけれど、僕は彼を見ないように毛布を頭から被り、拒絶した。

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