証…07

「ん…っあ…、あっ…憲吾さ…」
 悩ましげに眉根を寄せて甘い声を上げる蓮を、嘉島は口戯を続けながら上目で見据えた。
 根元まで咥えこんだ嘉島が顔を動かす度、卑猥な水音が響いて鼓膜まで犯されてゆく。
 快感に大きく仰けぞった身体が汗ばみ、息が上がる。
 蓮が再び名を呼ぶと、嘉島は口を離し、唾液や先走りでしっとりと濡れた性器を、ゆるゆると扱き始めた。
「蓮、分かるか…溢れて来るぜ。こっちのほうまで伝ってやがる」
 手を動かし、陰部を伝って蕾の方まで流れ落ちた液体を、指で掬って塗りつける。
 恥ずかしい科白を臆面なく掛けられた蓮は、更なる羞恥に苛まれてしまう。

「…憲吾さん…もう、僕…、」
 息も絶え絶えに訴えると嘉島は理解したように口端を上げ、性器を一際強く扱き上げた。
 そうしながらも反対の指で、蕾の入り口を何度も擦ってくる。
 身体の奥は一層疼き、与えられる快楽になす術もなく、蓮は肢体を強張らせて達した。
 勢い良く腹部へ飛び散った白濁を、嘉島は顔色一つ変えずに指で掬い、絡める。
 呼吸を整えて休んでいる蓮の蕾へ再び指を這わせ、慎重に内部へ埋めてゆく。
 慣らすように、緩慢な動きで浅い抽挿を繰り返され、達したばかりで敏感な蓮の身体は小刻みに震えた。
 その様子に喉奥で低く笑った嘉島は、再び蓮の性器へ顔を寄せた。

「あ…っ…ん、…あ、あぁ…っ…」
 くびれを熱い舌先が這い、根元から先端までじっくりと舐められる。
 嘉島は先端の窪みを舌先で何度か突いた後、嫌悪の色も無く蓮自身を口に含み、きつく吸い上げた。
 弱いところを的確に責められ、強烈な刺激に耐え切れず、蓮は涙を零す。
 無意識に嘉島の髪を握り締めて、泣きながら縋りつき、何度も首を横に振った。
 しかし嘉島は解放してくれず、それどころか奥深くまで咥え込んでくる。
 同時に、嘉島の指が内側の敏感な部分を押し上げたものだから、蓮は爪先を震わせて悶えた。
「ん…んっ、…や…っああぁ…ッ」
 そのまま舌を絡めて引き抜かれ、耐えられずに蓮は、あられもない声を上げて達した。
 小刻みに身体を痙攣させている蓮を眺め、嘉島は嫌な顔一つせずに放たれた欲を飲み干し、顔を上げて指を引き抜いた。

「どうだ、よかったか」
 脱力し、硝子に凭れ掛かっている蓮はその問いに素直に頷く。
 息を切らして余韻に浸っていた蓮だったが、その顔に不安げな色を浮かばせ、いささか戸惑った末に疑問を口にした。
「…あの、憲吾さん……僕以外の男性を相手に、したことがあるんですか」
「有る訳ねぇだろう。なんだ、急に…」
 呼吸を整えながら小さな声音で問うと、嘉島は眉を顰めた。
 先刻の強烈な快楽を思い浮かべた蓮が思わず、頬を赤く染める。

 慣れていないからあんなに感じてしまったのか、それとも嘉島が巧いからなのか……
 口で愛撫されること自体が初めてで、比べる対象すら無い蓮には分かる筈も無い。

「…その……よ、好すぎたので…憲吾さん、慣れているんだろうなって思ったんです…」
「何度も女に咥えさせれば、やり方ぐらい覚えるだろう」
 衒いもなく、当たり前のように云われて、蓮は呆気にとられる。
 だが次の瞬間には、端整な顔に眉根が寄り、唇を尖らせて視線を逸らした。

「僕だって、憲吾さんを満足させることぐらい…できます」
「おかしな奴だな、女相手に嫉妬してどうする」
 愉快そうに笑いながら、嘉島はベルトに手を掛ける。
 猛々しくそそり立ったものを取り出すと、蓮の膝を大きく割り開き、腰を進めた。
 熱い塊が入り口へ押し当てられると、快楽を期待した蓮の身体が、ぶるりと震える。
「憲吾さん…早く…」
「焦るな。痛くねぇように、ゆっくり挿れてやる」
 強引に押し入ってくる普段と違い、嘉島は慎重に楔を埋めた。
 先端を埋め込んだ後も一気に貫いては来ず、少しずつ侵入してくる。




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