盛夏…10
「おわっ…な、なんだよ、いきなり」
うつぶせになって腰を高く上げる姿勢にされ、驚きの声を上げる。
後方を振り向こうとした矢先、濡れたものが蕾に触れた。
「ちょ…ハジメ、何して…」
ふだんは潤滑液を用いている為、そこを舌で愛撫されるのは初めてで、不意を衝かれたのもあって宏孝は声を震わせた。
舌が、躊躇いも無く潜り込んで内壁を擽る。
「ん…っ、…ハジメ、や、やめろって…」
指で解される時と違い、強烈な羞恥が込み上げて来る。
シーツを握り、気が紛れないかと視線を投げ出した先で、姿見に目が留まった。
舌が抜き差しされる度、春の顔も動く姿に、急激に頬が熱くなる。
身体の奥も熱く疼きだし、無意識に腰が、もどかしげにくねった。
間近でその様子を堪能していた春は、ようやく舌を抜いて、すかさず指を埋め込む。
存分に濡れた内側を探る度に、クチュクチュと卑猥な水音が響いて、宏孝の羞恥を更に煽った。
「はぁ…あっ、ああ…ッ!」
キュッと締まる襞を広げるように優しく掻き回し、いい箇所も突いてやると、宏孝は堪らずに甘い声を上げる。
高く上がった腰が、春の指の動きに合わせて淫らに揺れ動いた。
「すごくヤらしいね、ヒロ」
控えめな笑い声を交えて囁くと、言葉に刺激されたのか、蕾がヒクヒクと震えた。
そこへ、春の視線がじっと注がれる。
「ヒロの此処、ヒクついてるよ。僕の指を物欲しそうに締め付けてるし、いい眺め」
「…っ、そういうコト…んっ…言うな…あっ、あぁっ…ん…!」
身体が熱く火照り、汗ばむ。
咎めた声は、春が執拗に一点を責めて来た所為で、嬌声に掻き消される。
その上、前も扱かれては耐え切れず、宏孝は容易く二度目の絶頂へ追い上げられた。
吐精し終えると、宏孝の身体が力無くシーツに沈む。
だが春は休む間を与えず、宏孝を抱き寄せて仰向けにすると、入口へ自身を宛てがった。
「う、ああぁ──…ッ!」
太く大きなものが、一気に奥まで埋め込まれる。
宏孝の顔が痛みに歪んで、悲鳴に近い声が響いた。
身体が強張ると、春は動きをとめ、唇を優しく奪う。
「く…ハジメ、俺、いつも思うケド…慣らす時、指二本じゃ足りねえって。ハジメの、デカ過ぎんだよ」
「ごめんね、挿れる時のヒロちゃんの痛そうな顔、たまらないからさ」
「は? おま…、だからいつも正常位で一気なのかよっ」
「うん、ごめんね」
「ごめんねって…ぜってー悪いと思ってねえだろ。ハジメ…マジでサドだな、」
深い溜め息を吐いただけで、それ以上の憎まれ口は叩かなかった。
繋がったままの状態では、圧倒的に自分のほうが不利だ。
喋っている最中に動かれでもしたら……悲しいことに、快楽に流されない自信が宏孝には無い。
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