かけひき…14
「えと…じゃ、その…やります」
覚悟を決めた冬希のその言葉に、祐一は込みあげそうな笑いをなんとか堪えた。
股間部へ顔を寄せた冬希は、目の前のそれを、遠慮がちに舌先で舐める。
くびれを軽く食み、裏筋は唇で軽く擦って拙い愛撫をつづけるが、少しためらったのちに亀頭を口に含んだ。
たっぷりと味わわされた口戯を思い出しながら、頬を窄めて吸い上げる。
思い出すだけで身体が熱くなり、冬希のそれも頭を擡げ始めた。
「歯を立てるなよ……そう、上手いな」
まだ拙い口戯にも関わらず、祐一は髪を撫ぜながら優しい声音で褒める。
それが嬉しくて、同時にくすぐったく、冬希は目を細めた。
時折聞こえる短く呻く声が、祐一が感じていることを教えてくれる。
「冬希、もういい」
喜びが強まり、夢中で口戯をつづけていると、上から声が掛かった。
怪訝そうに口を離した冬希の顔を目掛け、唐突に白濁が飛び散る。
狙ったとしか思えないほど的確に、眼鏡にかかった。
「すまない、つい汚したくなった」
あわてふためきながら眼鏡を外す冬希を見て、祐一はさらりと謝罪する。
「ユウイチさんって、ひょっとして変態……うわっ」
恨みがましく見つめると、いきなり身体を反転させられ、言葉を呑み込む。
うつ伏せになった冬希の腰を掴むと、祐一はそのまま腰を高く掲げる姿勢にさせ、足の間へ自身を押しつけた。
熱い塊が冬希の股間をするりと通り、お互いのものが触れ合う。
祐一が腰を動かす度、そこが擦れ、冬希はシーツに顔を埋めた。
「あぁ…っん、は…っ」
「気持ち好いのか、冬希。ここもヒクついてる」
「い、いやだ…そこは」
指で蕾を突付かれ、不快感を思い出して、かぶりを振った。だが祐一は、耳を貸さない。
サイドテーブルの引き出しから容器を取り、中の潤滑液を尻の谷間へと垂らした。
冷たい感触に、冬希の身体が硬直する。
「ただのローションだ」
短く説明しながら、蕾や指にたっぷりと潤滑液を塗り込んで、内部に指を埋没させた。
「ひ…! い、嫌だって言って…のに、なんでまたそこ…指、入れんだよ…」
不快感に短い悲鳴をあげた冬希が、弱々しく抗議した。
「なにも知らないんだな、冬希。男同士は、ここで繋がるんだ」
「繋がるって…ここで、って……ユウイチさんのが、まさか…」
想像力を必死に働かせて、冬希は声を震わせる。
祐一が、嬉しそうに笑った。
「そう。私のを挿れるんだ、ここに」
中に埋まった指が、くねくねと蠢く。
信じられないとばかりに、冬希は目を瞬かせ、首を横に振って見せた。
「む、無理、入るわけ…」
「入るようにと、今、解しているんだろう」
「だってそこ、嫌な感じで…」
「じきに好くなる」
有無をいわさず、指を増やした。
圧迫感に目を瞑る冬希には、中を探る指の動きが不快でたまらない。
時折、祐一の昂ぶりに前を擦られるお陰で快楽は継続していたが、不快感のほうが強い。
もっと強い刺激を求めた冬希の腰が揺れ始め、祐一の昂ぶりへと自身を擦りつける。
鼻に抜けるような甘い声をあげて、汗がうっすらと浮かぶ腰を、淫らに振る。
その媚態は、祐一の情欲を激しく煽った。
扇情的な冬希の姿に見入りながら、ある箇所を擦り上げた瞬間―――。
前だけの刺激に夢中になっていた冬希に、突如、鋭い快楽が突き抜けた。
「…っな、なに、いま…」
「冬希のいいところ、だな」
「や…んんっ!」
今度は的確に狙って、そこをグッと押しあげる。
甘い痺れを伴って、快楽が電流のように駆け巡った。
頭の先から爪先まで突き抜ける強烈な快楽は、前を刺激されるよりも、ずっと強い。
「指が、もう三本も入っている。分かるか?」
ぐるりと指を回して抉ると、冬希は弱々しく首を振った。
祐一はそれを見ても止めず、そこばかりを突き、擦って、執拗に刺激する。
「も…もう、いやだ、ユウイチさ…っ」
「嫌じゃないだろう。ぐしょ濡れだぞ、前」
涙を滲ませて根をあげると、濡れそぼった自身が祐一の逞しいもので擦られ、二重の刺激に身悶えた。
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