かけひき…15

 祐一の指を締め付けて、襞がひくひくと震える。
 そこを見つめながら内部の一点を押しあげ、とどめとばかりに同時に前も強く擦ってやると、冬希は短い悲鳴をあげて達した。
 汗ばんだ身体がシーツに沈み、ずるりと指が抜ける。
 力の抜けた冬希を反転させて腰下に枕を置き、開いた足の間へ進み入り、散々解した箇所に昂ぶりを宛てがう。
 冬希が息を吐く間もなく、それは強引に押し入ってきた。
「う…あ、ああっ…!」
 指でたっぷり解されたのと、潤滑液のお陰で痛みはない。
 脱力しきった身体は奥まで難なく受け入れたが、圧迫感がすごく、無理矢理中を広げられる感覚が息苦しい。
「全部入ったぞ。分かるか?」
「あ…分か、る……ほんとにおれ、ユウイチさんと、繋がって…」
 奥まで満たされている感覚に、大好きな相手と繋がれたという事実に、強い愉悦が込みあげた。
「どうしよ…おれ、たまんないよ…めちゃくちゃ嬉しくて、おかしくなりそ…」
 感極まり、声が熱っぽく、震える。
 交差させた両腕で顔を隠した冬希を見て、祐一の胸の内も熱くなった。
「冬希、そんなに私のことが好きなのか」
 出来れば何度でも聞きたい言葉を、もう一度言わせようと、隠れた顔を覗き込む。
 すると冬希は腕を退かし、濡れた瞳をまっすぐ向けた。
「好き、だよ…」
 想いを口にすると徐々に大胆になって、祐一の首にしがみつく。
 彼を受け入れているそこが熱く、ひくひくと震えるのが自分でも分かる。
 強烈な羞恥と甘い愉悦が交互に押し寄せ、身体の奥底が疼いて、たまらない。
「好きだ、ユウイチさん…すき…」
 同じ言葉を繰り返しながら、冬希は祐一の唇に触れ、浅い口づけを何度もする。
「……冬希、おまえは本当に、私を繋ぐのが上手いな」
 いささか参った様子で、祐一がわずかに眉を下げる。
「あ、いつもの顔。よかった、二重人格とかじゃないんだ」
「…なんの話だ?」
「だって、今日は…いつもと違ったから」
「冬希がよく言っていた、情けないおっさん、か? あれはもう、する必要がないな。私の駆け引きは、なかなかだったろう?」
「かけひきって…なに言って…」
 瞠目する冬希に、それ以上は答えず、ゆるゆると律動を始める。
 慣らすような慎重な動きに、祐一の思い遣りを感じるも、気になって心から浸れない。
「ま、まさか…あの飛び降りって、んっ……嘘だった…?」
「おまえが近づいてこないからな。最適だろう」
「な…おれ、おれが、どれだけ心配したと…」
「人の顔を見るなり逃げて、そのあとは毎日遠くから見ているだけで、私を焦らしたおまえが悪い」
「き、気づいてたのかよっ? おれ、焦らしてなんか…ん、あぁっ…!」
 ぎりぎりまで引いた雄で、いきなり深くまで突き上げられて身体が仰け反る。
 もう大分慣れたと判断した祐一は、そのまま抽挿のペースを速めた。
「待っ…話しが、出来な…っ!」
「すればいいだろう、このまま」
 荒々しく奥を突いて、くすりと笑う。
 腰を激しく打ちつけられて一点を執拗に責められ、鮮烈すぎる快楽に冬希は震えた。
「んっ、や、…んんっ、無理…ッ」
「無理なら…いまは諦めるんだな」
「待てって、待…はぁ、あっ…ああぁ…っ!」
「随分待ったんだ、もう待てない」
 耳朶を噛まれ、つづく容赦ない突きあげに、冬希の理性は呆気なく崩されていった。



 長時間つづく行為に、冬希がとうとう根をあげた為、休憩に入った。
「休ませはするが、今日は寝させてはやらないから覚悟しておけ」
「そんな…おれ、もう出ねえ…」
 冬希はぐったりとベッドに沈み、情けない声で泣きごとを言う。
「出ないなら、前はもう弄らなくていいな」
「い、いやだ…前も、さ、触って欲しい…」
 真っ赤になった顔を背けて、ぼそぼそと返す。
 それに笑いながら、冬希の両の膝裏を掴み、肩に向かって押しあげた。
 丸見えになった結合部へ、熱い視線が注がれる。
「少し緩んだと思ったら、直ぐに締まって…面白いな」
「ど、どこ見てんだよ」
 逃れるように腰を捩れば、その所為で内壁が擦れ、声をあげる羽目になる。
 そのうえ祐一に笑われて、
「自分で動いてくれるのか。サービスいいな、冬希?」
 などと揶揄までされ、冬希の顔はゆでだこのように真っ赤に染まった。
 熱を散らそうと首を振ってから、祐一の腕を掴む。



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