宝物…3
「おれ…いま気付いたけど、好きなんだ…総司さんが」
「好きじゃなかったら、来ないだろ」
「ちがくて……恋愛感情で。ごめん、ごめんなさい…おれ、気持ち悪いよね」
肩を震わせ、嗚咽を洩らしながら想いを告げる姿が、痛々しい。
総司は小さく震えている身体を強く抱き締め、自分自身に対して浅い溜め息を吐く。
「翔…すまない。さっき言ったのは嫉妬からだ。俺も、おまえをそういう意味で好きだから」
「じゃあ、じゃあ総司さんは、おれとキスしたい? 舐めたり、入れたり…したいの?」
率直すぎる問いに、総司は頭を抱えたくなる。
あきらかに困り果てている総司を見て、翔の顔が不安で曇る。
「ちがうの?」
「……翔は、どうなんだ」
「おれは…キス、して欲しい」
「分かった、今からする。だから泣き止め」
翔の後頭部を撫でながら、唇をそっと被せた。
縋りつくように、翔が背中へと震えた手を回して来る。
おそるおそる抱きつく翔に応えるように、噛み合わせを深くした。
「ん…ん…っ」
口腔へ滑りこんで来た総司に舌を絡めとられ、翔は身体を震わせる。
くちゅり、と濡れた音が聞こえて、羞恥と興奮に目をぎゅっと閉じた。
息が上手くつけない。
それでも総司との口付けが嬉しくてたまらず、逃げる気など起きなかった。
鼻にかかった声が洩れるままに、腰をもぞもぞ動かしていると、総司がキスを止める。
「勃ってるな」
「……え? あ…っ」
優しく、けれど濃厚な口付けに頭の芯がぼうっとしていた翔は、反応が遅れた。
意味を理解した時には、既にそこへ総司の手が滑り落ち、布越しに雄を撫でられる。
高ぶっていた翔は、そんな少しの刺激だけで危うく達しそうになり、息を切らせながら懇願した。
「ま、待って、お願い…っ」
「どうした?」
「……その、…で、出ちゃいそうだから」
言葉にするのも恥ずかしく、ぼそぼそと声が小さくなる。
総司はクスリと短く笑い、翔の首筋に舌を這わせつつシャツのボタンに手をかけた。
露わになった胸元へ総司のごつい手が触れると、翔の下半身が更にうずく。
「俺のことが好きだから、そんなに感じているんだろう。嬉しいよ、とても」
「うん…総司さんが触るとこが、熱くて、気持ちよくて、どうにかなりそう」
熱っぽく答えられ、総司の胸中で愛しさと喜びがより強く湧き起こる。
もっと悦くしてやりたい衝動に従い、総司はソファーから下りて床に膝をついた。
「え、ちょ…総司さんっ?」
翔が焦りの声をあげたが、総司は止まらない。
素早く翔のズボンを引き摺り下ろし、下着の中から取り出した翔自身を口に含んだ。
「うわ……あっ、ああ…っ!」
根元まで咥えて強く吸った瞬間、翔の身体が大きく震えた。
我慢できずに総司の口の中で吐精してしまい、翔は激しくうろたえ、両の掌を丸ませて差し出す。
「ご、ごめんっ…総司さん、ここに吐いてっ」
半泣き状態で謝る翔の姿に笑いを堪え、総司は喉を鳴らして嚥下してしまう。
それに愕然とし、信じられないと云った表情で、総司を見つめる。
「の…飲んだ…いま、飲んだよね?」
「いいんだ。翔のだからな」
「う、うう……じゃあおれもする、飲む」
ソファーから急いで下り、総司の股間へと手を伸ばす。
そこは大きく膨らんでいた。自分のそれとは二回りほど雄々しいだろうか。
「すごい…総司さんの、勃ってる」
「翔が魅力的過ぎるからな。俺もおまえが好きだから、興奮だってする」
「嬉しい…興奮、してくれたんだ」
喜色で綻ぶ翔の笑顔を目にして、総司は欲情が強まるのを抑えきれなくなった。
床の上へ翔を倒したが、その際はちゃんと抱き支えて優しく扱った。
丁寧な扱いと、覆いかぶさって来る総司の姿に、胸が熱くなる。
バクバク云っている心音を伝えようと、翔は総司の首にしがみつき、身体を密着させた。
「総司さん、好き…大好きだよ」
「翔…」
「んっ、…ふ…ん…」
唇が重なり、舌を巧みに絡めとられて、息が弾む。
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