陶酔…9
三科の家に戻ると直ぐに、湯が沸いた風呂をすすめられた。
脱衣所で服を脱ぎ、大の男が2〜3人は入れるほどの広い浴室で身体や髪を洗ってから、浴槽に口元まで浸かる。
(初めて告白した……それにキス、されたよな……あれはキスの範囲じゃないのか?)
ぶくぶくと泡を立て、身体を倒して頭の先までお湯に沈んでゆく。
初めの頃は外見が好みなだけだったが、今は三科のすべてが好きだ。
だが優希は、二度と伝える気は無い。
(もし伝えて……あの微笑みが消えてしまったら……)
三科はゲイでも無いのだから、普通に嫌悪の色を出すだろう。
この先、どうしようとぼんやり考えていた矢先、
「優希!? はー……溺れてんのかと思ったよ、あんまり驚かせないで」
「あ、すみませ……、……っ?」
腕を掴まれて湯の中から引き起こされ、目の前に溜め息を吐く三科が映って、謝りかけた言葉が詰まる。
「なん、なんで入って来てるんですかっ」
「僕も風邪ひいちゃうからねぇ」
「そ、そうですか、じゃあ、お、俺が、もう出ますねっ」
これ以上、裸の三科を見ていたら意識し過ぎて、どうにかなってしまいそうだ。
焦燥感に駆られて浴槽の湯を掻き分け、立ち上がろうとする。
「急がなくていいでしょ。ゆーきくんもまだ身体、あったまってないよ?」
「き、気にしないでください、もういい、もういいから、俺出ますっ」
するりと両腕が滑り込み、優希の冷えた身体を容易く包み込む。
「こうやってくっついて入ってると、あったかいねぇ」
「聞いてます!? 三科さん、はな、離して、離してくださいっ」
熱が一気に上がり、鼓動が速まって、優希の頭の中はパニック状態だ。
湯の中で優希がジタバタもがいても、三科は上機嫌な様子で優希を後ろから抱き、暖をとっている。
「ほんとに、あの、くっつかないで……ください……」
顔が真っ赤になると同時に、優希の声がどんどん小さくなってゆく。
小動物のように身体を縮めて震えている優希の姿が、ひどく愛らしい。
揶揄したさよりも劣情が煽られ、優希の項に唇で触れる。
「ひっ」
面白いほど過剰に優希の身体が跳ねて、なにかを隠すように前かがみになった。
三科の欲が更に高まり、硬くなっている優希のソレに片手で触れると、優希はふるふると首を横に振る。
「だ、めです、さわ、触んないで……っ」
「このままだとツラいんじゃない? それとも一人で抜く?」
「なにもしないで……じっとしてたら、おさまる、から……」
今にも泣きそうな優希の声に、三科は疑問を抱く。
「ゆーきくん、一人で抜いたこと無いの?」
「有る、けど……怖くなって、途中でやめ、ました」
「えー? ほんとに?」
試しに、と優しく牡を揉み始めると、優希の唇から甘い声が零れる。
「っあ、や……やだ、やめ、んっ」
「あらら、ほんとにかわいいねぇ、ゆーきくん」
牡をやんわり握って扱けば、優希の身体がビクビクと跳ねた。
「先っぽ触るの、だめ……んあっあう、こわい、やだ、うぅー……」
「先端が感じるんだ? よしよし、怖くないよ」
ぽろぽろと零れる涙に口付けしながらも手は止めず、敏感な亀頭部を指の腹で擦って刺激する。
真っ赤になった顔を横に振り、優希はのけ反った。
「あっんん、だめ、も……変になる、こわい、やだよぅ……」
「ん? イきそう? 怖がらずに、イっていいよ」
「っや、やぁ……あっあ……んあぁっ」
白濁を吐き出し、優希の意識は途切れた。
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