陶酔…12
「ゆーきくんは、僕が親切だから、感謝を恋愛感情だと錯覚しているんじゃないかな」
冷静に返された言葉に、優希は絶句した。
ひどく惨めな気持ちが溢れて、枕を掴む。
「俺の、俺の感情をそんな風に否定するなよ、嫌なら嫌だって言えばいいだろ」
枕を三科に投げつけ、立ち上がった。
「俺のこの、どうしようもないほど、アンタを好きな気持ちが、感謝程度で済んでたまるかっ」
みっともなく喚いて、優希は部屋を出て行こうとした。
「待って。ゆーきくん」
「ぎゃっ、痛……ッ」
足を掴まれたせいで見事に転び、畳に鼻を打つ。
「あ、ごめん。大丈夫?」
「……鼻血は出てないから、大丈夫です」
鼻をおさえながら恨めし気に振り返ると、三科が手を差し伸べてくれた。
掴んだ瞬間、グイっと強く引き寄せられる。
「ごめんね、傷つけて」
膝の上に座らせて、三科は優希を優しく抱き締めた。
「ヤクザと関わってると、危険にさらされる確率が一般人よりも高いからねぇ。キミは若いから、勢いだけで進めると思っているかも知れないけど、ヤクザに関わらないに越したことは無いよ」
「そんなこと、俺が一番分かってる! でも、どう言われてもアンタを諦めきれない、俺はアンタと一緒に、道を進みたいんだ」
瞳を真っすぐに見て、不安や恐怖と戦いながら告げる優希を、愛おしく思う。
「頑固だねぇ。……でも、そこまで言われちゃ、無下に出来ないね」
「……同情は、嫌だ。恋愛の情以外で、俺を受け入れるぐらいなら、ふって欲しい」
本当にこの子はなにも分かっていないな、と三科は微笑む。
優希が相手だと、どうしようもないほどに、心が揺さぶられるというのに。
「鈍いなぁ。同情でも無く、僕もキミが好きなんだよ。多分、キミの好きよりも僕のほうが愛は深いよ」
「そんなこと無い、俺だって……んっん!?」
ムッとして言い返そうとしたが、キスで唇を塞がれ、なにも言えなくなる。
「ふ……ぅん……んんっ」
熱い舌が絡まって、優希の身体は容易く熱を上げる。
唾液に濡れた唇を強く吸い、舐ってから歯列をなぞってくる三科の舌を、優希がおずおずと舐め返す。
じれったくなるほど、拙い動きだが、三科の劣情を煽るには充分だった。
「せめて高校生になってから手ぇ出せって、金城に怒られちゃったからね。ほんとうは何度も触りたくて仕方なかったんだよ」
「そう、だったんですか……俺、気持ちいいのに怖くて、面倒くさいやつって思われていたらどうしようかと」
愁いを帯びた優希の瞼にキスをして、再び唇を奪う。
安心させるような、優しくて心地好い口づけに、頭がぼうっとなる。
「言ったでしょ、僕のほうが愛は深いって。面倒なんて思わないよ。……それより、ゆーきくんの制服姿もいいけど、そろそろ脱がしたいな。コレどう脱がすの? 脱いで見せてくれる?」
唇が離れ、はあはあと優希は息を乱していたが、三科の要求に頷いた。
ネクタイを緩めて下げ、制服のボタンを外して前を開くと、優希は乳首をあらわにする恰好になった。
「んぁ!」
乳首を摘まれ、疼くような感覚が走り、初めてのそれに優希は恐怖を抱く。
「ま、待って……三科さ、ふ……あぁ、こ……こわい」
「なにが怖いのか、言ってごらん」
「そこ、いじられると、ん……っうぅ、ん……ビリビリして……や、だ……っ」
震えた声で素直に答える優希に、三科の情欲はひどく煽られる。
涙で濡れ始めた優希の瞳を見つめながら、三科は片手でズボンと下着も取り去る。
「ゆーきくんの敏感な身体が、僕に触られて喜んでいる証拠だから、怖くないよ」
あやすように言いながら、固くなった乳首を指先で転がす。
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