「っは、…ぅんっ…ん…」
　巧みに舌をからめ取られ、きつく吸われると、身体が一瞬だけ跳ねた。
　胸元を何度も撫で回していた手に乳頭をやんわりと摘まれ、甘い快感に背筋が震えた。
　久し振りのキスに夢中になりながら、僕は応えるように自ら舌をからめだし、ほぼ無意識に腰を揺らし始める。

「葵、フェラをしてやるのも良いが…たまにはこう云うのも、良いだろう？」
　ゆっくりと唇を離した彰人は自分のベルトへ手を掛けて外し、スラックスの前を開いて見せた。
　もしかして、と漸く理解し始めた僕の腰を掴むと、彼は強い力で引き寄せて来る。
　曝け出された雄々しいソレに自分の性器が触れ、身体の奥が熱く疼く。
　堪らなくなった僕は、指示されるまでも無く、彼の性器へ自身を擦り付けるように動き出した。
「いい子だ…」
「彰人…っ…んあ…ぁ、…んんっ」
　唇に吐息が掛かるほど近くで、低い声音で甘く囁かれて、頭がくらくらしてしまう。
　もっと褒めて貰いたくて、彰人に喜んで欲しくて、僕は夢中で腰を動かした。
　視線を落とし、お互いのソレが擦れ合う様を眺めると、卑猥な光景にぞくぞくする。
　湿った吐息を零しながらも、敏感な亀頭をくびれに押し付け、僕は甘えるように自身を擦り合わせた。
　全身が汗ばむのを感じて、息が熱く弾む。
　暫く行為に没頭していると、彰人がそっと、僕の唇を指でなぞりだした。

「葵、舐めなさい。」
　優しい声音で命じられると、拒む気なんて全く起きない。
　目の前へ差し出された彼の中指を、言われた通りに舐め、指の付け根までじっくりと念入りに舌を這わせる。
　淫靡な水音が耳に届き、羞恥に苛まれながら同じように人差し指も舐め、咥え込んだ。
「おまえは本当に、私を煽るのが上手いな…」
　指を甘噛みすると、彰人の嬉しそうな声が響く。
　それに気を良くして少し強めに吸うと、彰人はゆっくりと指を引いた。

「良く出来たな…いい子だ。」
　満足気に囁いた後、頬に軽いキスをしてくれる。
　頬にキス、だなんて滅多にしてくれないから、不意打ちのようなその行為に熱が急上昇した。
　腰の動きを一度止め、熱くなった顔を見られまいと、僕は咄嗟に俯いてしまう。
　俯いたまま、ちらりと視線を向ければ、彰人の手が移動してゆくのが眼に映った。
「彰人…、…早く…」
　濡れた指が、蕾へと触れる。けれど直ぐには挿れず、入口をなぞり続けているだけの動きに我慢出来なくなり、相手の唇を舐めながらねだった。
　それに満足してくれたのか、彰人はうっすらと口元を緩めて見せる。
　口端をほんの少し上げるだけの笑みでも、彰人がやると十分魅力的で、つい見惚れてしまう。
　彼に視線を注いでいると、ようやく彼の指が内側へ、慎重に侵入して来た。
　圧迫感に少し眉が寄るものの、探るように指が蠢きだすと、無意識に腰が少しくねる。
「ゃ…彰、人…解いて…っ」
　縛られている所為で彰人にしがみつく事も出来ず、僕は首を振りながら頼み込んだ。
　けれど彰人は、ほんの少し目を細めて、意地の悪い笑みを浮かべる。
「今はそのままで愉しみたいからな。…悪いが、外せそうに無い」
「そ、そんな…、ひど…っあ、んん―…ッ」
　圧迫感が強まって、指が増やされたのが分かった。
　深くまで急速に忍び込んで来たそれが、ぐっと前立腺の膨らみを押し上げた瞬間、あまりの快感で目の前がぼやける。
　堪らなくなって腰を動かせば、彰人の雄で自身が擦れてしまい、二重の快楽に涙が零れた。

「も…やだ…もう、イきたい…」
「駄目だ。ほら、ちゃんと動きなさい」
「うあ、っん…ああ…ッ」
　厳しい科白を投げ付けた彰人は、容赦なく、膨らみを指で突いて来る。
　執拗に突かれ、指の腹で時折強く擦られて、全身が大きく震えた。
　強烈過ぎる刺激に身悶えながらも、何とか腰を揺らし、彰人の性器へ自身を擦り付けるけれど
　あまりにも快楽が濃過ぎて耐えられず、僕は嫌々とかぶりを振る。
「やだ…、やっ…もう我慢、出来な……出したい…っ」
　泣きながら懇願してみるけれど、彰人は許してはくれない。
　彰人が良いと言うまで、達くのを我慢しなければならないのは、いつもの事だけれど
　久し振り過ぎてより敏感になっている身体には、この仕打ちはキツ過ぎる。

「我慢しろ。…勝手に達けば、どうなるか分かっているだろうな？」
「ひ…っぅ…んっ…」
　吐息混じりに耳元で囁かれ、ぞくり、と背筋に寒気が走る。


[前]　/　[次]