I miss you…16
かぶりを振って見せると、彰人の雄は入口ぎりぎりまで抜け出て、僕は思わず目を瞑る。
その瞬間、いきなり腰から手を離された。
「う、ぁっああッ…!」
身体は重力に従って落ち、硬く太い熱が、奥深くまで一気に貫いて来る。
鮮烈な快楽に爪先を震わせて身悶えると、再び腰を持ち上げられた。
また一気に貫かれるのかと強く期待していたが、今度はそのままあっさりと抜き去られてしまう。
「な…んで、彰人…っ」
半ば責めるように相手を呼ぶ僕を、彰人は丁寧にソファの上へ倒した。
片足の膝裏を掴まれて押し上げられ、思わず強い期待感に身体を震わせると、彼の雄が蕾へと当てがわれる。
早くと急かしてみるけれど、彼は一息吐いて此方を見下ろし、しなやかな指で僕の肌を撫でた後、乳頭を摘んで軽く捩りだした。
走りぬけた甘い疼痛に、びくりと身体が跳ねる。
――――もっと、彰人が欲しい。奥深くまで、貫いて欲しい。
そんな僕の望みを見抜いたかのように、彰人は不意に双眸を細めたものだから……魅力的なその表情に、欲情がひどく煽られた。
我慢出来ず、僕は腰を押し付けるようにして動き、自分から挿入を試みる。
さっきまで散々彼を咥え込んでいたそこは、いとも簡単に、雄々しいソレを呑み込んでしまう。
「…っあ…く、も…だめ…っ」
何度か腰を揺らしていると、限界はすぐにやって来た。
許しを請う事すら忘れて根を上げ、襲い来る波に、そのまま身を任せようとする。
けれど、再び性器の根元を握り込まれて、塞き止められてしまう。
「ひど…ひどい、どうして、彰人…ひどい、よぅ…っ」
またいつもの意地悪だろうと分かってはいるが、余裕が無い所為で、僕は泣きながら相手を責めた。
すると彼は、僕の頭を優しく撫でて、ほんの少しだけ口元を緩めた。
「私もそろそろ達きそうだからな。…もう少し、我慢してくれ」
彰人…ずるい。
そんな風に、頼み口調で言われたら、断れる筈が無いのに。
彼の望み通りに我慢しようと必死で何度も頷けば、彰人は優しい声音でいい子だと褒めてくれた。
彰人に褒められると、嬉しさで何も考えられなくなる。
その上、単純な僕の脆い理性は、簡単に崩壊してしまう訳で。
「あき、と…、ね…早く、お願…ぁあっ…!」
言い終わらない内に、勢い良く、奥まで一気に突き上げられた。
内側を隙間無く埋め尽くしているソレが、何度も抜き差しを繰り返しながら、的確に好い箇所を狙って擦り、突き上げて来る。
「坂井は、おまえに多少気が有るようだからな。しっかりと、思い知らせてやらなければ……」
巧み過ぎるその動きに溺れそうになって、きつくしがみつくと、彰人は僕の耳元へ顔を近付け、吐息混じりに甘く囁いて来た。
徐々に息を荒げながら、彼は激しく腰を打ち付けて来る。
奥深くまで乱暴に突き上げた瞬間、彰人は塞き止めを解放し―――――。
「おまえは、私だけの恋人だと云うことをな…」
「っぁ、んああ――…ッ…」
彰人の甘い言葉に酔いしれながら、身体を大きく震わせて達した瞬間、熱い雄は素早く引いて抜け出てゆく。
眉を顰めた彰人が低く呻いた後、僕の腹部や胸元へと、彼の白濁が飛び散った。
何ていやらしい行為なんだろうと考えるけれど、不快な気になんて全くならない。
「…彰人…、気持ち…好かった?」
「当たり前だろう。すごく好かったぞ、葵」
無性に気になって問うと、息を整えた彰人は、薄く笑いながらすぐに答えてくれる。
彼を満足させることが出来て幸福感に満たされ、ほっとして目を閉じた。
心地好い余韻に身を委ねて、このまま眠ってしまいたいとすら思うけれど、それが出来無いことは分かっている。
そろそろ、帰らないといけない。
備え付けの浴室で身体を綺麗にして、多分、坂井に家まで送って貰って……また一人で、一日を過ごさないといけない。
脳裏に浮かんだその考えに淋しさが強まって、ひどく切ない気分になる。
瞼の裏が熱くなって眉が寄ると、頭をそっと撫でられた。
その感触につい、まどろみ掛けてしまうけれど、早く身体を綺麗にして帰らないと。
彰人は多忙な身だから、僕が居たら仕事の邪魔になってしまうし、風邪をうつしてしまったら大変だもの。
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