お仕置き…03

「ひっぁああ…ッ!!」
 ガクガクと痙攣する僕の身体なんてお構い無しに、
 きゅっと引き締まっている蕾へ、彼の指が強引に入り込んで来る。
 入口が切れないよう注意をしながら
 それでも僕に圧迫感と軽い痛みを与えようと、少し乱暴に指を侵入させて来る彰人は……流石だ。
 僕が痛いのも好きだって事を、十分に分かっているみたいだった。

「んあっ、あぁ…ッ!ぁぁあっっ…!!」
「葵…人がくれる物を、もう簡単に口にしてはいけないよ。……判ったか?」
 頷き以外を許さないような鋭い口調に、余程彰人が怒っているんだと理解出来る。
 僅かに残っている理性で、泣きながらも必死で首を縦に振ると、
 彰人は僕の唇を指でなぞって、目を眇めて見せた。

「きちんと言葉にして見せろ…でないと、許してはあげられないな、」
 射抜くような眼差しで見つめられて、つい怯えが顔に出てしまう。
 すると彰人は僕の髪を梳くように撫でて、穏やかな軽い微笑を浮かべてくれた。
 それだけで理性が吹き飛びそうになる僕って…手遅れなぐらいに、ヤバイかも。

 言葉を紡ぐ余力など無いと云うのに、彰人は僕が、きちんと言葉にするまで
 許してはくれないみたいで……。
 彼は僕の内部に押し入れた指を巧みに使い、振動している異物を指で挟むと、激しく抽挿を繰り返した。
「ぅあっあぁ…ッ!!はぁっ、んンうッ…!!」
 強烈な刺激で背が大きく反れ、腰は逃げるように揺れ動くけれど、彰人からは決して逃げられない。
 快感が強烈過ぎて、逆に辛過ぎる。
 けれど、これが彰人流の、キツーイお仕置きなのだ。
「あっぁ、っめんなさ…、も…ああっっ…!!!んくっ、ぅあっ、しませ…ッ」
 必死で言葉を紡ぐけれど、途中で嬌声に掻き消されてしまい
 途切れ途切れの言葉になってしまう。

 彰人は納得いかなかったのか、軽い溜め息を吐き、前髪を掻き上げて見せた。
 そんなカッコイイ仕種してる暇が有ったら、楽にしてよ…とか、云ってやりたい。
 けれど僕の口から漏れる言葉は、媚びるような甘く高い声だけだから、本当にどうしようも無い。

「…いい子だ。これからは気を付けなさい、」
 てっきりまだ続くのかと思いきや、彰人は甘く優しい声で囁いてくれた。
 充血していた僕の性器から、あっさりとリングを抜き
 代わりに内部の異物を奥へと押し付けて来て……
「ひッ、あぁぁっっ…!!」
 僕の目の前は一瞬で真っ白になり、目が眩む。
 一際高い悲鳴のような声を上げて、普段よりも多い量の精液を吐き出し、身体は激しい痙攣を続けた。
 彰人の着ている浴衣へと吐精してしまった事を申し訳無く思いながら僕はぐったりと脱力してしまう。

「葵…平気か?」
 倒れ掛かった僕を支えながら、スイッチを切ったローターと指を抜き去り
 彰人は優しい声でそう尋ねて来た。
   けれど僕は、もう何が何だか分からず、ただボーっと放心しているだけだ。
「そんなに好かったのか?」
 クスクスと笑いながら揶揄するように尋ねられても、反論する気力も無く。
 僕はただぐったりと、彰人の腕の中で乱れた呼吸を整えていた。

 お仕置きを終えた後の彰人は、実はいつもの数倍優しくなる。
 あやすように頭を撫でられ、背中まで優しい手で擦られて
 その上頬や額にまで甘いキスをくれる。
 だから僕は、お仕置きを実は嫌いになれない。
 むしろ……好きかも。

「彰…人、もっと…」
 キスをねだったつもりだったのに、彰人は意地悪気に喉の奥で笑い……
「まだ足りないのか。なら次は、目隠しでもするか?」
 そんな危ない発言をして来た。
 慌てて否定するように首を振るけれど、力が入らずに、弱々しく横に振るだけしか出来無い。
「ち、違くて…んっ、ぁッあ…!」
 弱々しい声で否定するのにも関わらず、彰人はまたローターを僕の中に、ゆっくりと挿入して来る。
 それから、僕が欲しがっているものを分かっているみたいに
 甘く優しいキスを唇にくれて……
「葵、まだ休むのには早い…じっくりと愉しませて貰うよ、」

 キチクな笑みを浮かべながら、低く甘い声で彼はそう囁いた。

 うぅ…お父様のお仕置きは
 ………まだまだ、続くみたいです。


終。

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