陶酔…18(終)


「痛み止めが効いているので……したい、です。大友に触れられたところ、ぜんぶ三科さんの手で忘れさせて欲しい」
 真っ赤になりながらも、震えた声で本心を伝える優希のいじらしさに、三科の理性は簡単に折れた。
「痛かったら、ちゃんと言うんだよ?」
 柔らかい布団の上に優しく押し倒し、服を脱がしつつ、露わになる肌へ口づけて。
「しっかり上書きしてあげる。大友にどこをどうされたか、隠さずに教えて」
「胸のところ、いじられて舐められて……身体、触られて……」
 思い出しただけで嫌悪感が込み上げて来るが、三科に唇を重ねられただけで、身体は喜びに震える。
 丁寧に、じっくり愛撫され、優希は快楽の波に流されてゆく。
 耳を軽く噛まれ、舌先でなぞりあげられて、身体は一気に力を無くしてしまう。

 身体も心も、愉悦に溶けてゆきそうだ。
 全てを預けるようにしがみつくと、三科は愉しそうにクスクスと笑う。
 優希の乳首へ唇を寄せ、きつく吸い上げた。
「はぁッはぅ……あ、ああ……っ」
 指が逆の乳首を軽く突いただけで、息は上がり、殆ど何も考えられなくなる。
 蕾の奥で三科の指が動く度、もどかしそうに腰が揺れ、甘い期待に身体が疼いて仕方が無い。
 それを見抜いたかのように、三科の牡が打ち込まれる。
「あっ、はぁ……んうっんっ!」
 軽く達してしまい、思わず伸ばした片手を、大きな掌が掴んで、そのままぎゅっと握られる。
 この手の温かさを知っているのは、今はきっと自分だけだ。
 そう思うと、堪らないほどの強い愉悦が込み上げて、大きな快楽の波が何度も迫って来る。
「愛してる、優希……」
 熱っぽくも甘い囁きに、内側が無意識にヒクヒクと収縮する。
 心の奥まで伝わる愛と強い快感に、うっとりしながら、愛する三科の手を握り返した。
「んあっ、んっ、あっ、あぁっ……みしなさ、好き、好きぃ」
 最初はゆっくりと、次第に強く腰を打ち付けられ、優希は身もだえながら甘い声を上げる。
 ぐちゅぐちゅと濡れた音が結合部から響き、優希の耳奥まで犯すようで。
「もう、やっ……だめぇ……おかしくなる、三科さん、助けて……っ」
「おかしくなってもいいよ、もっと色んな姿見せて?」
 精悍な顔が、額に汗をにじませて快楽に笑みを深めている。
 中でピクピク脈打っている牡の感覚に、優希の全身が熱を上げた。
「もう、も……っああ――ッ!」
 優希が達しても、敏感になった襞を擦る動きは止まらない。
「ああぁっ、だめ、だめ、んあ……やぁっんん!」
「すごくいいよ、優希」
「三科さっ、あっ……みしなさ、あああ……!」
 強烈な悦楽に、三科の背中にすがりついて爪を立てる。
 何も考えられなくなる程に、愛しい恋人がくれる蕩けそうな快楽にうっとりと浸り、酔いしれた。



終。


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