Forget me not…13

「お口で…彰人の口で、イキたい…っ」
 例えどれだけ恥ずかしい科白だろうと、羞恥で耳まで真っ赤になるのが分かっていようと、
 気持ち良く楽に射精させてくれる方が良いって物だ。
 次の行為をねだった余裕の無い僕を見つめて、彰人は中から指を抜き去ると、喉の奥で笑って見せた。
「…今日はフェラは無しだ。」
「え…な、どうして…僕…っ」
 彰人の言葉にショックを受け、震えた声を出して俯く。
 彰人…それは、もう僕のを口に入れたく無いって事なの?
 何も言わずに黙って会社に来て、仕事の邪魔をしてしまった悪い子だから?
 ――――――それとも。
 頭の中に彰宏の顔が浮かぶ。
 彰人のもう一人の息子で、僕よりもずっと、彰人の息子と呼べるに相応しい人。
 彰人は彼にはとても優しくて、僕でさえ稀にしかして貰えないのに、頭まで撫でて貰える。

 それとも、彰宏の方が僕より大事になったから…?
 そう考えると涙が出そうで、顔を背けて目を瞑る。
 どうして僕はこんなに弱いんだろう。
 こんなにも駄目な子供を持って、やっぱり彰人は、迷惑に思っているかも知れない。
 どうしてこんなに情けなくて…そして、駄目な人間なんだろう。

「葵、何か勘違いしているだろう?」
「ひ…っ」
 一人で沈んでいると、急に乳首を強めに抓られる。
 小さな悲鳴を漏らして、慌てて顔を彰人の方へ向けると、彼は目を眇めながら僕を見つめていた。
 その表情につい胸は高鳴って、彼に見惚れるようにボーっとしてしまう。
 すると直ぐに、また乳首を抓られてしまった。
「いっ…たぁ」
 先程よりも更に強めに抓られた為、眉を顰めながら痛みを訴えた。
 そうすると今度は、優しく指の腹で乳首を撫でられてしまい、快感で身体は震える。
「たまには、満タンのままでして見るのも楽しそうだと思って…な、」
「あ…、」
 いつの間にか彰人は逞しい雄を外気に曝け出して、僕の蕾へと当てがって来た。
 その熱さと雄々しさに先の快感を予想して、つい物欲しそうな表情で彰人を見つめてしまう。
「期待しているのか?ヒクついているぞ…」
 喉の奥で笑いながら、満足そうに尋ねられてしまい、カァッと顔が熱くなる。
 けれどやっぱり、僕はどうしようも無い奴だから、彰人に言葉で虐められるのは好きで仕方ない。
「んっ…あッぁ…!」
 ゆっくりを腰を進められ、内壁を押し広げて侵入して来る彰人の凄いモノの感触に、快感の涙が零れてしまう。
 内部が彰人のモノで一杯になる感覚が気持ち良くて気持ち良くて…
 溜めている物を全て吐き出してしまいたい。
 心の底から楽になって、全部曝け出して、彰人に甘えてしまいたい。
 そんな事を考えながら、宙へと手を伸ばした。
 理解したように彰人は顔を近付けてくれて、僕は彼の首へと腕を回す。
「ゃ…ッ、あぁ…ぁっん…ンッ」
 容赦なく律動を開始され、結合部から漏れる水音が、静まった室内に響く。
 物音が一切しないから、余計に音が響くようで…すごく興奮してしまう。
 眉根を寄せながら僕を貫いている彰人を見ると、誰にも渡したくない…だなんて、強い独占欲が湧いて来る。
 そしてそれ以上に、彰人に捨てられたくないって言う願いが強くて…。
「彰人、彰…人っ、お願い…ッ」
 腰を巧みにスクロールしながら激しく突き上げて来る彰人へと、僕は無意識の内に言葉を発していた。
 奥を勢い良く貫かれる度に嬌声を響かせ、涙を溢れさせながらつい、顔を少し彰人から背けてしまう。
 けれど彰人は動きを止める事無く、僕の顎を優しく掴んで背けるのを止めさせ、ハンサムな顔を近付けて来た。
「何が、お願いなんだ?言ってご覧…」
 優しく甘く耳元で囁かれると、射精感は沸いて来てしまう。
 僕がイきそうなのを理解したかのように、彰人は容赦無く奥を穿ち、泣き所を抉るように突いて来る。
「ひあっ…!あッぁ、…てない、で……捨て、ないで…っ」
「全く、何を言っているんだ…」
 やれやれ、と呆れたように言いながらも、下は変わらずに激しいままって…ホントに感心する。
 自分でも何を言っているのか分からないまま、ただ彰人にしがみついて快感を貪った。
 僕を抱いてくれているこの瞬間だけは、彰人は僕のものなんだ…。
 そう考えると、限界は益々近くなって、秘部の締め付けは増してしまう。

12 / 14