Forget me not…19

「ゃ、あ…ッ、痛…!アッぁ、んぅ…いっ」
「痛い癖に此処は元気だな…」
 頭を押さえ付けるのを止めてくれた彰人は、クスクス笑いながら僕の性器を握り込んで来る。
 先走りでぐっしょりと濡れてしまっている僕のはしたないそれは、彰人に触られただけで敏感に反応してしまう。
 身体を震わせて快感を示した僕に、彼が気付かない筈も無く…
「無理矢理なのに感じるのか。……全く、どうしようも無い奴だな、お前は。」
 呆れたように言われるものだから、胸が痛い。
 そうだよ、彰人の言う通り…僕は、どうしようも無い奴だ。
 彰人に捨てられたら、生きていけない程、どうしようも無い。
「お前は、私じゃなくても感じるんだろう?」
「違…んぅっ、ん…あぁッ」
 痛みは徐々に引いて快感が強まり始め、次第に頭の中は真っ白になり始める。
 まるでそれを見計らったように、彰人は僕の小ぶりな性器をゆるやかに扱き始め、指で先端を撫でてくれた。
 ただでさえ、彰人がくれる快感に素直な身体なのに、そんな事をされたら、
 いつもより感じてしまう身体は我慢なんか出来無い訳で。
「ぁ…あっ!んンっ、あっぁあ…も…イク…ッ」
 いつもなら、彰人が良いと言ってくれるまで射精を我慢しなきゃいけないのに…
 彰人は性器を塞き止める事もせずに、無言で腰を動かしていた。
 それが何だか無性に淋しくて切なくて、僕は下唇を強く噛んで、涙を零し続ける。
「んくっ、う…ぁッ、ぁああ…ッ!」
 悲鳴のような声を上げながら、身体を激しく痙攣させて、綺麗な机の上へと吐精してしまう。
 彰人の逞しいソレをきつく締め付けながら、長い痙攣を続けた。
 でもまだ、彰人は出していない。
 射精後の余韻に浸りながらもそう思い、やはり僕は満足させてあげられないんだと分かった。
 いつだって彰人より、僕の方が早くイッちゃうもの。
 考えて見れば、彰人は満足していないに決まってるじゃないか。
「葵…もう少し頑張って貰うよ」
 何時もの優しい声で甘く囁かれ、体温が更に上がり、興奮は高まってしまう。
 恐る恐る振り向いた瞬間、内部からまだ熱を保ったままの逞しい雄が、抜け出て行く。
「彰、人…?」
 乱れた呼吸の間に彼を呼ぶと、彰人は僕の身体を抱き抱え、机の上へと優しく横たわらせた。
 向き合う体位と、彼の優しい態度についドキドキしてしまい、顔は赤らんでしまう。
 彰人はゆっくりと手馴れたように、上に纏っている僕の服を脱がせてゆく。
 露わになった肌へと彼の視線が、まるで舐め回すように僕の身体を這うものだから、堪らない。
 それだけで理性なんて吹き飛んでしまいそうな僕は、つい彰人の服を掴んだ。
「彰人…早く…っ」
「仕様が無い子だ…」
 やれやれ、と呆れたように言いながらも、口調は何処か優しくて。
 彰人の優しさが嬉しくて、涙を止められずにいると、怒張している塊が蕾へ再度当てがわれた。
「行くぞ…」
「ひぁっあぁ…んッ!」
 一息吐く間も無く、再び彰人の熱くて硬い雄が侵入して来る。
 痛みはもう無いけれど、圧迫感が強い。
「はぁ…っ、あ…苦しい…」
 さっきよりも太さを増している彰人のモノに、息を乱しながらそう訴えた。
 すると彰人は僕の唇をペロリと一舐めして、うっすらと口角を上げるだけの魅力的な笑みを向けてくれる。
「お前の中が好過ぎるからな…」
 満足そうな吐息を漏らされて、頭を優しく撫でられて……そんな優しい事をされたら、僕は堪らない。
 最後だと言うなら、優しくしないで良い。
 酷くして、傷付けて欲しい。
 優しくされたら……余計に、辛いから。
 最奥に彼の先端が当たると、ゾクゾクとした快感の寒気が身体を駆け回る。
 期待の篭もった眼差しで彰人を見つめると、ゆっくりと慣らすように彼は腰を動かし始めた。
「んん…ぅ、ぁ…ゃ…ぁあっ」
 抽挿のリズムに沿って声が漏れ、静寂な室内に響き渡る。
 熱い肉棒は僕の内部に甘い疼きを残して引き、直ぐに力強く最奥まで貫いて来る。
 彰人の凄いモノが、内部で膨れている前立腺を擦り上げると、
 頭が変になっちゃいそうなぐらい気持ち良くて…僕は自ら腰を揺らしてしまう。
「ぁっあ…ッ!彰人…彰人っ、好き…ッ」
 無意識の内に、彼に対する想いが零れる。
 泣きじゃくりながら腰を揺らして、快感を貪っている淫らな僕を見て、きっと呆れているだろう。
 彰人の顔が見れなくて、つい目を瞑ってしまう。

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