鳥籠…12
「凪君…可愛らしくて、堪りません…」
満足気に囁くと、自分の首へしがみついている凪の手を優しく外し、身体をずらして凪の股間部へと顔を埋める。
そして予めベッドの上へ置いて有った白い容器を手に取り、慣れたように片手で蓋を開ける。
指に透明な液体をたっぷりと絡ませている樋口の姿を目にし、
凪はこれからされる事を期待するかのように、身体の奥が言いようの無い疼きを上げるのを感じていた。
「久し振りですからね、先ずは一本だけ…」
「ひっ…」
蕾に触れる冷たい感触に、思わず凪の口から小さな悲鳴が零れる。
身体を強張らせてしまう凪の姿を目にし、樋口は焦る様子も無く、
もう片手でやんわりと凪自身を包み込むように握ってやる。
緩やかに相手の性器を扱き上げ、身体から余分な力が抜けるのを待った上で、指を侵入させてゆく。
「ジェルのお陰で、すんなり入りましたね。…指、増やしても平気ですか?」
ゆっくりと中指を動かしながら低い声で尋ねると、凪は何度も頷いた。
無理は決してせず、凪のペースに合わせながら、焦らずゆっくりと、樋口は二本目の指を侵入させてゆく。
「んっ、んぅ…ん、ぁ…」
スムーズに入り込んで来る指の感触に、凪の唇からは、艶めいた声が漏れた。
凪の性器から手を離した樋口の舌が、敏感な内股を這い、凪の身体が震える。
「本当に、貴方は何処も彼処も、素敵だ…」
低い声で甘く囁くと、樋口は何度も内股へキスを繰り返し、指を更に奥へと深く埋めた。
知り尽くしている、とでも云うように樋口の指は、凪の泣き所を的確に押し上げる。
「あっ…は、ぁ…ぁあ…ッ」
目の前が霞むような快感に、凪は腰をくねらせ、涙を零す。
腰を揺らす度に凪の性器も揺れているのを目にし、樋口は目を眇めて軽く舌なめずりした。
「やはり、手だけで達かせるのは、失礼ですよね…」
内股から唇を離して凪の性器へと顔を近付け、吐息が掛かる程近くでそう囁くと、
樋口は躊躇いも無く凪自身をその口に咥え込んだ。
「ぁあっ、あ――ッ…」
その上、内壁を抉るように指をグルリと回転させ、その強い刺激に凪は高い声を上げて悶え、爪先を震わせる。
「そんなに好いですか?…こっちも締め付けていますし…指、もう一本増やしますね」
一度口を離し、凪の泣き所を指で突き上げながら尋ねる。
樋口の言葉に凪は頷くが、口を離されると快感をねだるように、自身を樋口の口元へと押し付けてしまう。
それに樋口は笑い、再度凪の性器を咥え込んだ。
「んっんッ…!も、いやぁ…っ」
指を更に増やされ、痺れるような快感に凪は涙を零し、悩ましげに眉根を寄せて首を弱々しく振りながら訴える。
そんな凪の姿を見逃さないかのように、樋口は上目遣いに凪を見つめ、
ジュプジュプと卑猥な音を立てながら、凪の性器を刺激し続けた。
内部を刺激していた指をゆっくりと引き抜き、直ぐ様、グッと三本の指を一気に強く埋め込む。
「んぅっ、ん…ぁああッ」
その刺激に我慢出来ず、肢体を強張らせ、凪は呆気なく樋口の口腔へと精を放ってしまう。
樋口は嫌な顔一つせずに喉を鳴らし、放たれた液体を飲み下した。
息を切らしてぐったりと弛緩している凪を見て、樋口は目を眇め、再び凪自身をきつく吸い上げてやる。
「ヒっ、ぁあ…あ―…ッ!」
残滴も残さず吸い上げられてしまい、凪の甘く掠れた声が室内に響く。
ヒクンヒクンと身体を切なげに震わせている凪を見つめながら、樋口はゆっくりと指を抜き、凪自身も解放してやった。
「凪君…、大丈夫ですか、」
あまりの好さで放心してしまっている凪の頬へと手を当て、
樋口が心配そうに尋ねるが、凪は弱々しく首を振る事しか出来ない。
「少し、休みますか?」
汗で凪の額には髪がへばりつき、それを掻き上げてやりながら、樋口が穏やかな口調で言葉を放つ。
凪のペースに合わせてくれている樋口の優しさに、凪は息を整えながら相手の名を呼んだ。
「僕…厭きられたんじゃ、無かったの…?」
震えた声でそんな言葉を唐突に吐かれた樋口は、驚いたように片眉を上げた。
「厭きられたって……何故、そんな事を仰るんですか?」
「だって、最近…こう云う事しなかったから…他にいい人、見つけたのかと思って…」
沈んだ口調でそんな言葉を吐く凪を見て、この所凪が何かに悩み、
何処と無く沈んだ表情を浮かべていたのはその所為だったのかと、樋口は納得していた。
しかし、樋口は少し戸惑ったように凪を見つめる。
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